犬にとってトリミングは、見た目を清潔にするだけではなく、健康を維持するためにとても必要なことです。しかし、さまざまな理由でトリミングに行けないこともあるでしょう。そんなときは、セルフトリミングをしてみませんか?今回は、自宅でトリミングを行なうときに必要な犬用のバリカンについて、使い方やおすすめ商品を紹介します。
目次
犬用バリカンについて
犬がトリミングをする理由
トリミングは、全身が毛で覆われている犬にとって大切なお手入れのひとつです。特に、被毛が伸び続ける犬種には必要不可欠でしょう。毎日ブラッシングを行ない、清潔に保つことができていてば、被毛が多少伸びても悪影響はありません。
しかし、伸びすぎると目を傷つけてしまったり、おしっこやウンチが被毛に付着したり、肉球が被毛で覆われ滑りやすくなるなど、影響を及ぼしてしまいます。
犬用バリカンの種類
犬用のバリカンには、下記の2種類あります。使用目的や犬の被毛の状態に合わせて選びましょう。
全身カット用
定期的にお手入れが必要な犬種には、全身用のバリカンを用意しておきましょう。
背中や肩などの広い範囲をカットする場合、刃幅4.5cm、3〜8mmの替刃付きの使用をおすすめします。替刃や刈高を変更することのできるアタッチメントコームが付いているものを選ぶことで、犬種やその犬の毛質、季節に合わせてカット方法を変えられるためとても便利です。
プードルやシーズー、アメリカンコッカースパニエルなど、毛が根元から立ち上がり毛質の柔らかい犬種には3〜5mmの替刃を使いましょう。
コーギーや柴犬、ラブラドールレトリーバーのように毛質が硬く短い犬種には2mmの替刃を使いましょう。
夏や冬など、季節や気候によって毛の長さを変えるのも犬が過ごしやすくなるためおすすめです。
部分カット用
細かい部分をカットするためのバリカンは、肛門まわりや足裏、耳裏など気になる部分のお手入れに最適です。1mmの刃が搭載されているバリカンを選ぶことをおすすめします。刃が小さいためケガ怪我の危険性を抑え、安心して使用できるでしょう。
部分用は全身用と異なり刃幅が短くても問題ありません。しかし、毛がバリカンの中まで入ってしまうこともあるため、替刃などが付属されているものを選びましょう。
人間用のバリカンとの違い
人間用と犬用のバリカンは刃の細かさが異なります。犬の肌はデリケートのため、肌を痛めないように細かく設計されています。
また、人間の毛質と違い、犬は毛が細く柔らかいため、うまくカットをすることができません。逆に毛質の硬い犬種は、バリカンが壊れていしまう恐れがあります。
人間用のバリカンで犬のトリミングを行なうことは、ケガの原因にもなりますので、犬には犬用のトリミングを使用しましょう。
犬用バリカンを選ぶポイントは?
犬用のバリカンを選ぶときのポイントについて、下記にまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
音や振動が少なく静かなこと
自宅でトリミングする場合、さまざまな音がするサロンとは違い、バリカンの音だけがどうしても気になってしまうことがあるでしょう。
犬はバリカンの音が好きではないため、できるだけ静音のものを、また、振動の大きいものは犬が興奮してしまうため、振動が少ないものを選んであげください。
軽量なもの
20分程度持っていても、疲れないものがおすすめです。150〜800gを目安に選びましょう。
しかし、パワーのあるものや振動の大きなバリカンは、実際の重さよりも重く感じる傾向にあるため、口コミなどをチェックして選ぶことが大切です。
水洗いが可能なこと
水洗い可能なバリカンは、お手入れが簡単です。例えば、お風呂場でカットをした後、そのままバリカンのお手入れをすることが可能です。
バリカンは清潔に保つことが大切なので、水洗い可能な防水仕様のものは扱いやすいでしょう。
初心者でも安心なもの
バリカンは爪切りやハサミのように、犬を傷つけやすい道具のひとつです。バリカンの中でも、プロ仕様のものは刃の種類も豊富ですし切れ味も抜群です。
しかし、素人には危険なため、初心者でも扱えるものを選びましょう。
部位にあった替刃が入っていること
上記でも説明しましたが、全身は幅4.5cmで3〜5mmの替刃アタッチメント付き、肛門や足裏、耳裏は1mmの替刃付きなど部位にあった替刃が入っているものがおすすめです。
コードレスタイプがおすすめ!
コードレスタイプのバリカンは、トリミング初心者におすすめです。コードを気にすることもなく、操作性が高くなります。2人で協力してカットする場合もスムーズに行えるでしょう。
バリカンを使用するときに注意すること
バリカンは刃物ですので、使用方法を間違えるとケガにつながります。下記のような注意点に気をつけながら、家庭でのトリミングを行ないましょう。
デリケート部分は無理に行なわない
肛門周りなどのデリケート部分や皮膚の薄いお腹はケガをしやすいため、無理に行なわずにトリミングサロンにお願いしましょう。
バリカンは皮膚と平行に当てること
バリカンの刃を立てすぎてしまうと、皮膚に刺さりケガの原因になります。バリカンは皮膚に対して平行に動かしましょう。
バリカンは真っ直ぐ動かす
バリカンを横に動かしてしまうと、刃が皮膚を巻き込んでしまいます。真っ直ぐにゆっくりと動かすことを心がけてくださいね。
身体の毛は流れに沿って刈ろう
全体的に毛を刈るときは、それぞれをバラバラに行なうと虎刈りのような仕上がりになってしまいます。仕上がりをきれいにするためにも、毛の流れに沿って順番に行ないましょう。
また、バリカンをあてる前は、皮膚の異常(イボやかさぶたなど)がないか確認してから行なってください。
バリカンあるある!こんな場合はどうすればいいの?
毛が生えなくなった
バリカンで毛を刈ったことにより起こる「バリカン後脱毛症」というのを知っていますか?さまざまな犬種のなかでも、ポメラニアンに発症しやすいと言われています。
毛を刈ったことで皮膚の温度が変化し、毛のサイクルに影響しているのではないかと言われており、バリカン後に脱毛を起こしてしまう疾患を総称して言います。
しかし、基礎疾患には別の病気が関連し、隠されていることもあります。通常であれば1年くらいで自然に発毛しますが、気になる場合は獣医師に相談しましょう。
バリカンを嫌がる
バリカンの音や振動を嫌がる場合は、バリカンに慣れさせることから始めましょう。まず始めに、スイッチを付け音に慣れさせます。その際、身体にバリカンを当てずに行なってください。
次にスイッチ切り、バリカンの刃を身体に当てます。バリカンは傷つけるものではないことを教えましょう。ここまで頑張ることができたら、おやつなどをあげましょう。「頑張ればご褒美におやつがもらえる」と学習するはずです。
しかし、それでも嫌がる場合は、ストレスになってしまうことも考えられますので、無理に行なわないようにしてくださいね。
毛が刈りにくい
アンダーコートが密集している犬種や毛量の多い犬種、毛玉ができてしまっている犬の場合は刈りにくいことがあります。しかし、無理に刈ろうとバリカンを動かしてはいけません。
刃を皮膚と平行にし、力を加えずゆっくり動かしましょう。
また、バリカンの刃が汚れているときも、毛を刈りにくいことがありますので、分解して洗ったりオイルをつけるなど、メンテナンスを行なってください。
バリカンを怖がる
犬は、大きな音のするバリカンを向けられると、怖いと感じることが多いです。また、トリミングで嫌な思いをしたことがある場合、その記憶が残っているため、バリカンを見ただけで逃げるような行動を取ることもあります。
このようなときは、少しでも大人しくできたらおやつをあげたり、バリカンに慣れるように練習したりしましょう。トリミングを2人がかりで行なうのもいいでしょう。
ひとりは声をかけながら保定し、もうひとりはできるだけ時間をかけずにカットを終えてください。固定される時間が長いとストレスを感じ、それがトラウマになってしまう恐れがあります。
トリミングを行なうときに吠えたり暴れたりしているときは、怖がっている表現のひとつです。不安を取り除いてから行なうようにしましょう。
編集部がおすすめする犬用バリカン6選
自宅でトリミングを行なうときにおすすめのバリカンを紹介します。
パナソニック ペットクラブ 犬用バリカン 全身カット用 青 ER807PP-A
こちらの商品は3〜6mmと9〜12mmの刈高アタッチメントが付いているバリカンです。水洗いが可能なので、お手入れも簡単です。また、充電交流式のためコードレスでも充電しながらでも使用することができます。
トリミング中に、充電が無くなってしまう心配がないのは嬉しいですね。8時間のフル充電をすると、連続約40時間使用することができます。
重量は140g(アタッチメント除く)のため、疲れることなく使用することができるでしょう。
さらに、トリミング方説明書も付いていますので、ぜひ目を通してみてください。
パナソニック ペットクラブ 犬用バリカン 部分カット用 青 ER803PP-A
部分カットに適したコンパクトサイズのバリカンです。口周りや足裏など、細かい部分を1mmの刃できれいにカットすることができます。
また、1〜12mmまで調整が可能なので、毛玉なども取り除くことが可能です。乾電池式(単三電池×2)のコードレスタイプのため、コードが邪魔になってしまうことがありません。
ドギーマン ホームバーバー プロフェッショナル
バリカンの中でもパワーがあり、切れ味がいいためとてもおすすめです。3、6、9mmのステンレスコームタイプのアタッチメント付きで、犬種や季節によって刈高を選ぶことができます。
アタッチメントを付けずに使用すると1mmになりますので、足裏などの部分カットをすることも可能です。充電交流式なので、充電しながらでもコードレスとしても使用することができます。
スピーディク・PEACE
重さ275gの細身で、持ちやすく滑りにくい形状のバリカンです。電池はカセット式のため、充電しながらでも使用することができます。モーターを回転させながら刃を動かすので、さまざまな毛質に対応します。
こちらは本体のみのため、用途に合わせて替刃(スピーディック 替刃 3mmなど)を用意しましょう。
EVELTEK ペット用 バリカン
低騒音に設計されているため、バリカンの音を怖がる犬にとっても比較的慣れやすいでしょう。グリップは持ちやすくコンパクトで、初心者でも使用しやすいバリカンです。
セラミックとステンレスで構成された刃は放熱効果が高く、長い間使用する場合でも犬に熱を感じさせることなくカットすることが可能です。
3、6、9、12mmのアタッチメントコーム付きで、コームを外すと1mmになるので、足裏などをカットするときにもおすすめです。コードレスタイプですが、充電しながらでも使用することができます。
Pateker® 充電式コードレス 犬用グルーミングバリカン
こちらのバリカンは、チタン合金製とセラミック製の刃で構成されているため、切れ味が長続きします。3、6、9、12mmのアタッチメントコーム付きで、長さの調節ができ肌を傷つけることなくカットできます。アタッチメントを外すと、足裏などの部分にも使用することが可能です。
また、本体にもダイヤル式の長さ調節機能があり、繊細なカットをすることができるでしょう。パワフルですが騒音が少なく、振動が抑えられた設計になっています。コードレスタイプなので、コードを気にせずに使用することができますよ。
犬用バリカンでトリミングしよう
トリミングの時間は病気の早期発見になる!?
自宅でトリミングを行なうメリットは、費用面が浮くというだけではありません。バリカンでカットをする前に、全身を触り異常がないかチェックすることで、普段は被毛に隠れてしまっている皮膚病やしこりを発見することができます。
さらに、毛や耳を清潔に保つことで、病気の予防にも繋がります。
肉球は、滑り止めの役割をしていますが、毛に覆われてしまうとその役割を果たすことができず、滑って腰や関節などのケガに繋がってしまいます。
椅子や台に乗せると作業しやすい
トリミングを行なうときは、毛や爪などが散らばっても掃除のしやすい場所を選びましょう。
また、犬が集中できるように、家族の出入りが少ない静かな場所で行なうこと、さらには安全面を考慮し、高さのある台の上に乗せることで、落ち着いてトリミングを行なうことができるでしょう。
足裏から始めよう
肉球に毛が覆っていたら、汚れや滑りの原因になるのでカットしましょう。肉球の隙間を優しく開き、毛を軽く掘り出します。出てきた毛を部分用のバリカンでカットしましょう。
肉球と肉球の間の溝には足の筋があり、深く掘ると切れてしまうため、軽く毛が刈れる程度にしましょう。
足裏カットの保定方法は、トリミングサロンのように立たせた状態で足を曲げてカットするか、難しい場合は仰向けにして行なうとよいでしょう。
長毛の場合はハサミで短くしてから
長毛の犬の場合、いきなりバリカンで刈ろうとすると、毛が絡まってしまう恐れがあります。失敗の原因にもなりますので、コームなどで整えてある程度の長さまで、ハサミでカットしましょう。その後、バリカンで表面を滑らかになるように整えてください。
凹凸や刈り残しは、再度ハサミで整えるとより綺麗に仕上がりますよ。
顔まわり・肛門周りは慎重に
顔まわりにはコームを使い、すくった毛を少しづつカットしましょう。ハサミを使う場合は、先の丸いものを選んでください。また、刃の向きを目に向けないよう、刃の中央で切るようにして刃先は外側に向けましょう。
肛門まわりは、尻尾を立ち上げた状態で行ないます。肛門まわりに覆っている毛を部分用バリカンでカットしてください。バリカンは肛門を軽くなでるように優しく刈ります。
バリカンを押し付けると皮膚が切れてしまいますので、肛門にバリカンが触れないようにしましょう。
耳周辺や足の付け根はハサミでカット!
耳周辺は、バリカンの音が大きくなるため怖がって暴れてしまうことが多いです。そのため、コームを使いながらハサミで少しづつカットしてあげましょう。足の付け根にはもうひとつの肉球があります。
ケガをしてしまわないよう肉球の場所を確認し、ハサミでカットしましょう。耳や足の付け根の皮膚は薄いので切れてしまいやすいです。慎重に行なってください。
シャンプーで洗い流そう
カットが終わったら、シャンプーをして身体についた毛を洗い流しましょう。シャンプーのときに肛門絞りも一緒に行なうとすっきりするでしょう。
犬用バリカンを使って愛犬をいつでも清潔に
月に一回のトリミングが理想的ですが、ケガや病気などさまざまな理由でトリミングに行けないこともあります。
しかし、自宅に犬用バリカンがあれば、汚れがつきやすい場所だけでもカットをすることが可能です。
犬にとって清潔に保つことは健康維持にも繋がりますので、愛犬の負担にならない程度にトリミングをしてあげましょう。
バリカンの使い方に注意し、犬にストレスのかからないようにしてあげることが大切です。