飼い犬のためにブラッシングをしてあげたいと考えたとき、犬が嫌がったり噛み付こうとしたら困ってしまいますよね。そもそもブラッシングは必要なのでしょうか?今回は犬のブラッシングについて頻度や効果、やり方、さらにのブラッシングに慣れさせる方法についてお伝えします。
目次
犬のブラッシングはどのぐらいの頻度で行うの?
犬のブラッシングは毛が生え替わる時期だけすればいいのでしょうか?一時期に行うだけではなく、毎日行うことが理想と言われています。しかし、時間的に余裕がない場合は、週2~3回でも問題ないでしょう。
犬のブラッシングをすることで皮膚病の原因であるダニやノミが毛につくことを避けることができ、皮膚を衛生的に保つことができます。
犬のブラッシングの効果とは
ブラッシングには毛並みを整えるという目的以外にも、ブラッシングで期待できる効果が4つあります。
- 痒みや皮膚病の原因となるダニやノミを取り除く
- マッサージの効果も期待できる
- 血行促進に良い
- スキンシップを深める
犬にブラッシングは「気持ちいいもの」と感じさせる条件
犬にブラッシングは「気持ちいいもの」と感じさせるためには主に4つの条件があります。
- 犬の被毛の種類に合わせたブラシを使う
- ブラシを正しく使用する
- 犬が触られて気持ちいいと感じる箇所をみつける
- 優しく声をかけてあげる
犬のブラッシングで必要な道具を準備しよう
犬のブラッシングは毛の質や長さよって使用する道具が変わってきます。ここでは、ブラッシングの時に使用する道具について説明します。
ブラッシングスプレー
犬のブラッシングをする時にブラッシングスプレーを使用すると、コームやブラシの滑りが良くなります。また、毛玉やもつれた毛をほぐしやすくなるので、ブラッシング時に毛がひっぱられて痛い思いをすることが減るでしょう。さらに毛の艶をよくする効果も期待できます。
ブラッシングスプレーの作り方
ブラッシングスプレーは自分で作ることができます。手作りのブラッシングスプレーは2週間ぐらいで使いきるようにしましょう。
- 無水エタノール約3mlと精油(犬が好むアロマオイル)3滴ぐらいをスプレーボトルに入れて振ってよくまぜる
- 1.のスプレーボトルに精製水約57mlを加えて振って混ぜる
スリッカーブラシ
スリッカーブラシの特徴とは
- 全ての犬種に使える万能なブラシであり特に長毛種におすすめ
- 細い針金が多数ついているブラシ
- 針金がソフトタイプとハードタイプがあるが家で使用する時はソフトタイプがおすすめ
スリッカーブラシの使用目的とは
- 毛のもつれや抜け毛を除去する目的で使用する
持ち方と注意点
- 針金の先が尖っており力を加えると犬の地肌を傷つけたり、毛が途中で切れてしまうことがあるので、力を入れないように鉛筆を持つような持ち方をして使用する
獣毛ブラシ
獣毛ブラシの特徴とは
- 豚の毛やイノシシ、馬の毛でできているものがある
- 静電気がおこりにくい
獣毛ブラシの使用目的とは
- 犬の毛の表面の埃や汚れを取り除くことができる
- 毛艶がよくなるため仕上げに使うのがおすすめ
ピンブラシ
ピンブラシの特徴
- 先がまるくなったピンがたくさんついているので、犬の肌を傷つける心配が少ない
- 短毛種にも長毛種にも使える
ピンブラシの使用目的
- 毛をきれいに長く伸ばしたい時におすすめ
- スリッカーブラシで毛玉を取り除いた後、毛の表面をきれいにするために使用する
ラバーブラシ・ラバーグローブ
ラバーブラシ・ラバーグローブの特徴
- シリコンやゴムでできている
- 短毛種に使用することが適している
- 手にはめられるミトンの形になったラバーグローブがある
ラバーブラシ・ラバーグローブの使用目的
- 毛の絡まりをほぐしたり、死毛(いずれ抜け毛になる毛)を取る
ラバーブラシ・ラバーグローブの注意点
- ゴムに絡めて毛を取り除くため力を入れすぎると、毛が切れてしまうのでやさしくなでるように使用する
ファーミネーター
ファーミネーターの特徴
- 特に換毛期の抜け毛の多い犬種におすすめ
- 刃に毛を引っかけて抜くことで取り除く
ファーミネーターの使用目的
- 換毛期の被毛がダブルコートになっている犬種のアンダーコート(下毛)を取り除く目的で使用する
ファーミネーター注意点
- 刃に毛を引っかけて抜くので、使いすぎて毛を抜きすぎてしまうことがあり、換毛期だけ使用する
犬のブラッシングの方法とそのコツとは
犬のブラッシングでいくつか注意することがあります。例えば、毛玉を取り除こうとしてブラシで引っ張ってしまうと、犬が痛がってしまうといったことです。ここでは、ブラッシングの時に使用する道具の紹介とブラッシングでの注意点などを被毛の種類別でお話しします。
長毛種の場合
長毛種の犬種は、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、プードルなどです。長毛種のブラッシングの仕方を説明します。
- ピンブラシを使い毛の流れに沿ってブラッシングをする
- 抜け毛を取り除き毛玉をほぐすためにスリッカーブラシを使う
- 肉球の間の被毛を確認する
- コームを通して毛玉の有無を確認し、獣毛ブラシで艶を出す
皮膚を引っ張られて痛みを感じることを防ぐために、ブラッシングをする被毛の根元を持ちましょう。毛先から始め、何回かに分けて徐々に根元に近づけていってください。
毛玉ができやすい箇所を確認しましょう。特に、耳の付け根・前足のわきの下・後ろ足の腿のあたりなどは要確認です。スリッカーブラシを使う前に、指で毛玉をもみほぐして柔らかくしておきましょう。毛玉と皮膚の根本を抑えて、毛先から少しずつスリッカーブラシをかけてあげてください。
肉球の間の被毛に枯葉や小石やなどが絡まり、毛玉ができることがあるので注意してください。
毛玉がないことを確認しながら、コームの粗目から使用してください。獣毛ブラシを使い毛に艶を出してあげましょう。油脂分のある豚毛のブラシがおすすめです。
短毛種の場合
短毛種の犬種はパグ、ボストンテリア、スムースコート・チワワなどです。短毛種のブラッシングの仕方を説明します。
- 抜け毛を取り除くためにラバーブラシや獣毛ブラシを使う
- 蒸しタオルで体を拭いてマッサージを行うこともおすすめ
毛の流れに沿ってブラッシングしてあげましょう。
皮膚の汚れも取りやすくなるため、マッサージをしてあげると喜ぶでしょう。
ワイヤー種の場合
ワイヤー種の犬は、ワイヤーフォックステリア、ミニチュアシュナウザー、ワイヤーダックスフンドなどです。ワイヤー種のブラッシングの仕方を説明します。
- スリッカーブラシを使い、埃や抜け毛を取り除く
- コームで整える
抜け毛が多い換毛期はラバーブラシを使用することもおすすめです。
犬がブラッシングを嫌がるときはどうすればいい?
人間に比べて犬の皮膚は3分の1の薄さしかないので、ブラッシング時に毛を引っ張ってしまうと、犬は激痛を感じてしまいます。激痛を経験してしまうと、犬はブラッシングに対して不快な思いしか持てなくなり、体に触られることを嫌がりブラッシングができなくなる可能性があります。また、ブラッシングが嫌いになってしまい噛み付いたり暴れたりする場合もあるので、徐々にブラッシングを慣らしてあげてください。
体に触られることに慣れてもらおう
犬に体に触られることに慣れてもらうには、子犬の時期から犬の体に触れてあげましょう。ブラッシングはだいたい生後3~4ヶ月頃から始めることがいいと言われています。
犬には本能的に触られると嫌な部分(足先、しっぽ、耳)があります。犬のブラッシングに入る前に、嫌がらない部分から触れリラックスさせてあげましょう。
ブラッシングは、犬が触られることに抵抗感が少ない場所から始めてください。少しずつ触られる範囲を広げていき、ブラッシングで触る部分は抵抗感がなくなるように慣らしていきます。
短期間で慣れさせようとはせず、おおよそ1~2週間くらいの時間をとり、徐々に人間の手に慣れさせていくことがいいでしょう。
ブラッシングの道具に慣れてもらおう
犬の体に触らせてくれることを嫌がらなくても、ブラシに対してひどく嫌がることがあります。その場合は、犬が持っているブラシに対する嫌悪感(臭いや見た目)をご褒美と結びつけて慣れさせる方法をおすすめします。ブラシに対して慣れる方法は4ステップです。
- 床の上に犬が嫌悪感を持っているブラシを置きます。そこから50cmほど離れた場所に犬が最も好きなおやつを少し置気様子を見てください。嫌がってあまり近づかない場合は、ブラシとの距離を広げて1mあたりからスタートしてみましょう。
- 犬がおやつを食べたら、今度はおやつを置く場所をブラシに少し近づけてみましょう。先ほどよりも10cmくらいブラシに近づけた場所におやつを置くといいでしょう。
- 犬が食べたら、さらに10cmほどおやつ置く位置とブラシとの距離を縮めていきます。そして30cm→20cm→10cmのように徐々に縮めていきます。
- 距離が縮まったら、おやつをブラシの上に置いてみます。そうすることで、今まで犬にとって嫌悪感しかなかったブラシが、いつのまにかブラシとおやつが結びつけられることになるです。
ブラシにはさまざまな種類があるため、すべてのブラシに対して嫌悪感を持っている場合は、時間がかかるかもしれません。しかし、すべての道具に対して同じ作業を繰り返しブラシに慣れさせていってあげてください。
ブラッシングをするタイミングを計ろう
犬のブラッシングをするのは、1日の中では散歩が終わった後などがおすすめです。散歩でついた汚れをとることができ、また犬がやや疲れているタイミングのためじっとしていてやりやすくなります。
犬にブラッシングは「気持ちいいもの」と覚えてもらう
ブラッシングは犬の健康のためにも、できるだけやってあげたほうがいいことがわかります。ですが、ブラッシングを嫌がる犬がいることも事実です。嫌がって噛み付こうとしてきたら、ブラッシングをすることをあきらめようと考えてしまうかもしれません。しかし、プロに任せっきりにしてしまうよりは、飼い主がブラッシングをしてあげたほうがスキンシップを深めることができるので、飼い主がやってあげたほうがいいでしょう。
犬も飼い主もブラッシングに慣れるように、短時間からはじめて無理のない範囲でブラッシングすることがいいかもしれません。ブラッシングに慣れてくれば、犬がブラッシングを気持ちいいものだと覚えてくれて、犬の健康やリラックス効果に期待できるでしょう。