野良犬を保護する場所を知っていますか?最近は昔ほど野良犬を見かけることが少なくなったとはいえ、まだまだ野良犬ゼロの状態には至っていません。ここでは、野良犬を保護した場合の対処法や野良犬の保護団体をご紹介します。
目次
野良犬とはどんな犬?
野良犬は「飼い主がいない」「住む家がない」犬
一般的に外で単独で動いていたり、生活している犬のことを、野良犬や野犬といいます。これら野良犬の共通点は、「飼い主がいない」「住む家がない」ということです。野良犬は、以前飼われていたけど何らかの理由で飼い主と離れたり、捨てられた犬たちです。
そのなかには、生まれたときから野良犬という犬も多く存在します。とは言え、もとを辿れば全て人間に捨てられた犬たちが野良犬になり、そこから自然に繁殖をした結果です。
野良犬が「保護犬」になる
野良犬は、動物愛護センターや保健所に引き取られると、一時的に保護される「保護犬」となります。そこで新しい飼い主と出会うこともありますが、多くの場合は保護されるのも一時的で、数日で殺処分されてしまいます。
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野良犬を保護する際には、注意することが2点あります。ひとつは、野良犬との接し方に気を付けること、もうひとつは野良犬ではなく、迷い犬という可能性があることです。
接し方に気を付ける
野良犬を保護しようとしたとき、気を付けるのは「犬にかまれない」ということです。野良犬の多くは、初めて会う人間に対し警戒心を持っています。
そうすると、防衛本能が働き、人間を噛んでしまうこともあります。しかし野良犬の多くは、予防接種を受けておらず、噛まれたら病気になることも考えられます。まずは、以下の接し方を守るようにしてください。
- 立ったままの状態で犬に声をかけて、反応をみる(甘えてくる、おすわりなど命令に応える)
- しゃがんで姿勢を低くし、優しく声をかけ続ける
- 犬が寄ってくるまで、自分からは近づかない
- しっぽを振っているからと安心してはいけない。恐怖心からしっぽを振っている場合がある
- 犬が寄ってきてもすぐには触らない
- 触るときは、頭の上から手を出さずに、手のひらを出して犬の方から寄ってくるのを待つ
- 犬に触ることができたら、首輪やリードを持つ。リードや首輪、鎖がない場合にはそれに代わるものを持ってくる
- 犬が落ち着いたら、身元を示すものがないかチェックする
迷い犬の場合もある
野良犬かと思って保護したら、実は迷い犬(迷子)だったということも考えられます。首輪をしているようなら、迷い犬である可能性もありますし、飼い主さんが必死で探している場合もあります。
警察に届ける
首輪に連絡先が書かれていても、飼い主さんに直接連絡をとらずに、まずが警察に連絡しましょう。「遺失物」として届けることで、警察が飼い主さんとも仲介役をしてくれます。
以前は、飼い主さんと直接連絡を取ることを勧めていたこともありますが、現在では様々なトラブルのもとになることから、警察に届け出を出したほうが安心でしょう。首輪がない場合でも、一度警察に届けておきましょう。
愛護センターに連絡する
保護した野良犬を警察に届けても、しばらくは警察で預かってくれるかもしれませんが、多くの場合がすぐに愛護センター(保健所)に連れて行かれます。
愛護センターに連れて行かれると、短期間で処分されてしまう可能性が高くなるので、自宅で預かることができるなら、申し出をして警察と相談してみてください。
そして、自宅で預かるなら、愛護センターにも「保護している」ということを連絡しておきましょう。
もし迷い犬で飼い主さんが探しているなら、愛護センターにも問い合わせを入れます。その際に、できれば近隣にある複数の愛護センターに連絡を入れると、照合しやすくなり飼い主さんが見つかる可能性が高くなります。
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もし、野良犬を見かけて「飼おう」と決意したときどうしたらいいのでしょうか。ペットショップで購入する場合なら、店員さんより飼育方法や注意事項など説明があるかと思いますが、野良犬の場合には飼い主さんが動くしかありません。
そして、野良犬の場合は飼育する場合にいくつか注意点があります。詳しくみていきましょう。
野良犬を変えるかどうか判断する
迷い犬ではなく野良犬は、自分で飼うことができます。しかし、安易に飼うと判断する前に、費用面など考えておきましょう。
まず、自宅で飼う場合には動物病院で予防接種を受けなくてはなりません。その場合、診察料や検査料、予防接種料といった費用がかかってきます。
また、不妊手術を受けるかどうかも考えなければなりません。既に自宅で犬を飼っている場合には、その犬との関係性にも十分考慮しなければなりません。
初めて犬を飼う場合には、ケージやドッグフード、躾方法など自分で学ぶことも多くありますし、初期費用もかかります。これらをすべてクリアにして準備ができてから飼うようにしましょう。
動物病院で健康状態を診てもらう
飼うと決めたなら、まずは動物病院で野良犬の健康状態を確認してもらいましょう。可能であれば、家に連れて帰る前に確認してもらうのがベストですが、先に家に連れて帰ったとしてもなるべく早く動物病院で診察を受けてください。
野良犬は、ノミやダニが寄生していることが多くあります。もし、動物病院に連れていくのが次の日となる場合には、ケージやサークルを用意し、そのなかに入れておくほうが良いでしょう。
慣れるまで家の中で放さない
人間に慣れていない犬を家の中で自由にさせるのはやめておきましょう。犬にとってもストレスに感じることがありますし、飼い主にとっても家を荒らされるのはよくありません。まずは、人間に慣れるまで或る程度距離を置く必要があります。
しつけもできていない場合が多いので、トイレ面も問題です。動物病院で受けた検査結果が分かるまでは、ケージやサークルの中で過ごしてもらうほうがいいですし、しつけ面でも根気強さが重要です。
食事は少量から始める
「きっと十分にご飯も食べれず、お腹すかせているだろう」と思い、いきなり多くの食べ物をあげてしまうこともあるでしょう。
しかし、食事は少量から始めることが重要です。多くの量を上げてしまうと、がっついて食べて喉に詰まらせてしまう危険もありますし、胃腸にも負担となります。
その結果、下痢をしたりすることも考えられるので、始めのうちはお水を与え、少量のドッグフードから始めましょう。少しずつ量を増やしていくのは問題ないので、最初の量だけ気をつけてください。
また、警戒心からなかなか食べない犬もいるので、その場合は無理に与えず、離れた場所で様子を見守ってあげましょう。
それで自然に食べ始めればOKですし、もし1日全く食べないとなると体調が悪いことも考えられるので、その場合は動物病院で診てもらいましょう。
一度飼うと決めたなら、絶対に裏切らない
野良犬であれ、犬を一度飼育しようと決めたなら、決して犬を裏切らないようにしてください。野良犬の多くは、「飼い主さんに捨てられた」「裏切られた」という思いをずっと持っています。
それが原因で、人間不信になる犬も少なくありません。もう二度と犬に悲しい、辛い思いをさせないように、一度飼うと決めたなら決して犬を裏切らないという強い気持ちで飼うようにしましょう。
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【京都・大阪】動物愛護市民団体JCDL
■出典:動物愛護市民団体JCDL
京都府亀岡市と大阪府吹田市にシェルターを持つ、動物愛護市民団体JCDLです。保健所で殺処分されるわんちゃんやネコちゃんの終身お預かりシェルターや里親探しといったものを主な活動としています。
また、これ以上野良犬、野良猫が出ないようワンちゃんやネコちゃんの一時預かりシステムもあり、1ヶ月から3年単位で可能です。「一匹でも多くの命を救いたい」という思いのもと、現在でも毎日のようにワンちゃんやネコちゃんを受け入れています。
【千葉】NPO法人犬と猫のライフボート
■出典:ライフボート
NPO法人犬と猫のためのライフボートは、殺処分されるはずだった犬・猫を施設に一時的に保護して、里親さんを探す活動を行っている団体です。
施設の中には、附属動物病院を持っており、医療や保護犬・猫専門の外来診療を提供しています。
2017年9月には、犬猫の累計救命数が16,000頭を超えています。千葉県だけでなく、岐阜市や名古屋市、横浜市でも犬・猫の面会や譲渡会を開催しています。
【広島】NPO法人 犬猫みなしご救援隊
■出典:NPO法人 犬猫みなしご救援隊
動物と人間が共生できる明るい未来を目指している「NPO法人犬猫みなしご救援隊」は、獣医師を含む、専門知識の豊富な行動力のある団体です。
広島、栃木、岡山を拠点に持ち、終生飼養も行っています。犬・猫の譲渡活動だけでなく、学校での講演や自作演劇の上演といった命の大切さを伝える活動も行っています。
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野良犬の保護についてご紹介しました。ペットというものは、現在でも法律では「器物」としか表記されておらず、いくら「家族の一員」「大切な命」とは言え、野良犬や殺処分は後を絶ちません。
全国には多くの保護団体がありますが、そのほとんどがボランティアであり、犬や猫の数は増え続ける一方で、なかなか救う命がゼロにはならない現状があります。
様々な事情により、ペットを飼えない家庭もあると思いますが、もし一度飼うと決めたなら、最後まで一緒に暮らしてあげてください。家族の一員として、同じ時間を過ごしてあげましょう。
そして、どうしても離れないといけない場合には、里親を探したり、保護団体に委ねるなど、最後まで面倒を見てあげることが大切です。
また、新しくペットを飼うという人も、ペットショップに行く前に、一度譲渡会などに参加してみてはいかがでしょうか?素敵な出会いがあるかもしれません。
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