猫がマーキングをする目的にはさまざまなものがあります。猫は自分で縄張りを守る必要があるので、尿や便、唇の両側を使ってマーキングをします。また、爪とぎもマーキングの一種です。今回は猫のマーキングについて解説していきます。
猫のマーキングとはどんな行動なの?
猫のマーキングとは
猫のマーキングといえば、よく知られているのが「スプレー行為」です。これは、おしっこをいろいろな場所にしてしまう行動のことをいいます。
スプレー行為のおしっこはとても強いニオイを放ちます。あまりにも強烈なニオイで取り除くのが大変なほどです。一般的にスプレー行為をするのはオス猫だけではなく、メス猫が行うこともあります。
猫のマーキングとおしっこの違い
前述したように、普段のおしっことマーキングは異なりますが、その違いはどのように見極めたらいいのでしょうか。
- スプレー行為の場合
- マーキングの場合
普段のおしっことは違って尻尾を高く持ち上げ、おしっこを後ろの方に飛び散らすようにします。
柱や壁のような場所に垂直におしっこをします。
爪とぎも猫のマーキング行動
猫の爪とぎにはいろいろな意味があります。
野生の名残で、いつでも獲物を捕らえることができるように常に爪を鋭く尖らせておくため、自分の方が強いとのアピール、気分を落ち着かせるためにも爪とぎをします。そして、爪とぎは自分の縄張りをアピールするために行うことがあるのです。
爪とぎをするときに、肉球から自分のニオイを出して「強い猫がここにいるよ」と縄張りを守るためのアピールです。
猫はなぜ爪とぎをするの?その原因やしつけ方法・防止グッズを伝授頭をこすりつける
猫の眉間からフェロモンが出て、それをこすりつけることでマーキングします。猫を飼っている方でしたら、愛猫に頭を擦り付けられたことがあるのではないでしょうか。飼い主さんが頭を撫でようとしたら、おでこを手にグリグリ擦り付けてきたり、足元に頭を押し付けてきたりします。
マーキングをされるとどんなニオイがするの?
スプレー行為をされた場合、普段のおしっことは違った強烈なニオイがします。このニオイは濡れた雑巾で拭いただけでは取れません。また爪とぎや眉間から出るフェロモンを出していますが、人間には感じないニオイです。
猫がマーキングする理由とは
発情期によるもの
猫がスプレー行為をするのは、発情期に自分の存在をアピールするためです。
去勢・避妊手術をしていない猫はこの行動を頻繁に行います。特にオス猫は部屋中のいたる所に強烈なニオイのおしっこをしてしまいます。
このニオイの原因は「フェリニン」と呼ばれるタンパク質で、この成分がオシッコの中に含まれることで独特なニオイがするのです。
メスよりも縄張り意識が高いオスが縄張りを主張するため
犬と違って猫は単独で行動します。そのため、自分の縄張の意識がとても強く、他の猫が入ってくるのを大変嫌います。特にオス猫はこの傾向が強く、自分の縄張りを主張するためにマーキングして他の猫が入ってこないようにするのです。
好きなものに自分のニオイをつけるため
猫が飼い主さんの身体や家具に顔をこすりつけているときは、リラックスしている証拠です。部屋のあちこちに顔をこすりつけて縄張りを確認して、大好きな飼い主さんに自分のニオイをつけることで、安心するのです。
ストレスによるもの
猫の心は繊細で、小さな環境の変化にもストレスを感じることがあります。引っ越しをしたり新しく猫を飼い始めたときなど、ストレスからスプレー行為をしてしまうことがあります。
マーキングはいつからするの?
尿スプレーによるマーキング行為は、身体が成熟してくる生後8ヶ月くらいからする子もいます。猫の発育は早いため、この時期になると妊娠が可能ということになります。飼い猫の場合、まわりに異性がいない場合は発情しないことがありますが、多くの場合は飼い猫であっても発情します。
飼い主さんや家具に自分の顔をこすりつける行動は、子猫のうちから行います。2~3ヶ月になると母猫に甘えるように顔をこすりつけます。
猫のマーキング防止法4選
去勢・避妊手術をする
スプレー行為は発情期に異性に自分の存在をアピールする行動です。そのため猫が成熟する前に去勢・避妊手術をするとスプレー行為はしません。
トイレを清潔に保つ
猫はきれい好きな動物です。トイレが汚れているとそのトイレを使うのを嫌がることがあります。トイレを清潔にしておかないと、我慢してしまい膀胱炎になる恐れがあるので、猫がトイレを使ったらなるべく早くトイレを掃除してあげましょう。
また、トイレが汚れているとトイレ以外の場所でおしっこしてしまうことがあります。トイレをきれいにしているのに布団などでおしっこしてしまう場合は、ストレスが原因であることが多いです。仕事などでトイレ掃除をまめにできない場合は、トイレを数個置いてあげるといいでしょう。
中にはトイレの砂が気に入らないという理由で粗相をする猫もいるので、トイレ砂を変えてみるなど、猫の様子で何が原因か観察することが大切です。
新しい猫を迎えるときは焦らずゆっくり慣らしていく
猫は単独で暮らす動物で、自分の縄張りを強く意識しています。1匹で暮らしていた猫は、新しい猫がくるとストレスを感じることがあります。そのストレスがスプレー行為の原因になることがあるのです。
猫の性格にもよりますが、新しく猫を迎えるときは先住猫にストレスがかからないように焦らず少しずつ慣らしていくようにしましょう。そして、ご飯をあげるときや抱っこするときは先住猫を先にするようにします。
猫を多頭飼いしたい人必見!そのメリットや注意点・相性のいい組み合わせもご紹介環境の変化などのストレスを与えないようにする
環境の変化は猫に大きなストレスを与えます。引っ越しで環境が変わったり、部屋のリフォームで知らない人が家に出入りするなど、いつもと違ったことがあるとスプレー行為をすることがあります。
また、今まではいつもそばにいた飼い主さんが仕事を始めたことで、寂しさからスプレー行為をすることもあります。
猫が急にスプレー行為をするようになったら、猫にとって環境の変化はなかったか考えてできるだけストレスをためないようにしてあげましょう。
例えば、普段からケージを使うようにして猫にとってケージの中は安全な場所にしておくことで、引越し先でもいつものケージの中で過ごせば安心できるようになります。
リフォームをするときにもケージの中が安全な場所と分かっていれば、知らない人が来たらケージの中に逃げ込みます。仕事を始めて日中家にいないときは、帰ってきたら猫が満足するまで遊んであげましょう。
猫の性質を知っておくことで、猫にとってどんなことがストレスなのかどうしたらストレスがあまりたまらないかを知ることができます。
布団やカーペットにマーキングされたときの4つの対処法
マーキングされたものはニオイが残らないように洗う
猫は自分のおしっこのニオイがする場所におしっこをする習性があります。そのため、スプレー行為をした場所にニオイが残っていると、またそこでマーキングします。
床や壁は熱湯をかけたりハイターを薄めたもので拭く
スプレー行為は尻尾をあげて、飛び散らせるようにおしっこするので壁に飛び散ることがあります。すぐに拭かないと、壁紙にニオイが染み込んでしまうので、熱湯をかけてから漂白剤を薄めたもので拭いてニオイを取りましょう。
この掃除をするときは、猫をケージに入れるか、別の部屋にいてもらいましょう。
猫が嫌うニオイのスプレーを使用する
猫が部屋のあちこちでスプレー行為をしてしまう場合、猫が嫌うニオイがするスプレーを使ってそこにおしっこされないようにする方法があります。床にカーペットを敷くのをやめる、布団におしっこされる場合は寝室に入れないようにするなど、工夫が必要です。
病気の場合もあるので注意する
膀胱炎や腎不全、糖尿病にかかっている場合、トイレ以外の場所でおしっこしてしまうことがあります。膀胱炎の場合は、トイレに行ってもおしっこが出ないことがあり、常に残尿感があるためトイレ以外でもおしっこしようとしてしまうことがあります。
また、腎不全や糖尿病にかかっている場合は水を飲む量が増えるため、おしっこの量も回数も増えることになります。病気のせいで我慢できずにトイレ以外でおしっこしてしまうことがあります。
このように、普段と違った様子でトイレ以外でおしっこするときは、マーキングだけでなく病気の場合があるので、おしっこをしているときの様子や体調に注意しましょう。
猫がマーキングをしても叱らないで!
猫のマーキングは本能からしていることです。環境の変化でストレスを感じていたり、去勢・避妊手術をしていないためすることがほとんどです。ときには飼い主さんの布団でスプレー行為をしてしまうことがあるかもしれません。
しかし、そのとき決して叱らないでください。もし、トイレ以外でおしっこをするようなことがあったら、飼い主さんはどうしてそうなったのか原因を探ってみてください。飼い主さんができる対応をして、それでも続くようでしたら獣医師に相談してみるといいでしょう。
猫がスプレー行為をしてしまったら、強烈なニオイがついてしまっているので早めに掃除してニオイを取らないと同じ場所でまたしてしまいます。布団の上でしないように寝室には入れないようにするなど、飼い主さんが猫の行動を見て対処してください。
猫と暮らすということは、猫の行動を知って寄り添うことも必要です。猫も飼い主さんもお互いにストレスがないようにして暮らしていけたらいいですね。
猫が飼い主さんのあとをついてくる理由とは?その心理を知ればますます愛しさが倍増するかも